文字起こしは誰にでもできるって本当?

2022年10月23日日曜日

文字起こし

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文字起こしは誰にでもできる?

答えは・・・できます

ただ、始めるのは簡単、続けるのは難しい。向き不向きがある。どんな仕事でもそうですけど。

今回は「文字起こしは単純作業?」「文字起こしは難しい?」「向いている人・向いていない人」「文字起こしをするメリット」について考えてみました。

文字起こしは単純作業?

文字起こしは、音声を一句一句文字にしていく作業です。なので、単純作業といえば単純作業かもしれません。

ただ、私はこの仕事に携わって、文字起こしに必要なスキルを発見しました。必要なスキルは五つです。

1、検索能力  

2、漢字の知識

3、一般教養

4、流行

5、忍耐強さ

検索能力

文字起こしでは、正確な漢字・名称で表記することが大切です。

そのため知らない単語が聞こえたときに、正式名称・漢字を検索する能力は欠かせません。普段から調べる習慣がある人は、文字起こしに向いているかもしれません。

漢字の知識

漢字には、「異字同訓」「同音異義語」があります。私もしょっちゅう『記者ハンドブック』を眺めています。

例えば「くせをなおす」の「なおす」です。

これは「直す」だろうか、それとも「治す」だろうか。

答えは「直す」なんです。「治す」は病気の場合にのみ使われて、それ以外では「直す」を使用します。

正確な記載をするには漢字の知識が必須です。

一般教養

文字起こしの依頼には、東大の教授や海外の博士の講演もあります。先生たちが何を話しているのか理解できない場合、聞き取れない箇所や適切な漢字が分からない箇所が多くなるかもしれません。

歴史、科学、医学、政治、人名、さまざまな分野の単語が出てくるので、その分野での教養があると助けになります。

流行

話者の中は若い方もおられます。

私がYouTubeの文字起こしを担当していたときです。YouTuberは流行語、はやりのテレビ・音楽に言及することがありました。

正直、流行を知らないと聞き取るのさえ難しいんです。何度も聞いて検索して、やっとYouTuberが言っていたはやりの言葉が見つかった、ということがありました。

なので、流行に敏感なことも大切です。

忍耐強さ

文字起こしは、何時間もパソコンの前で、音声を聞いてキーボードを打っていく作業です。

聞き取れなければ巻き戻し、単語が分からなければ調べまくります。10分の音声を1時間で書き起こせるとしても、60分だと6時間、180分だと18時間も必要になります。

コツコツした作業が好きな忍耐強い人に向いている仕事だと言えます。

文字起こしは難しい?

文字起こしは、音声を聞こえたまま文字にしていく作業です。簡単そうで難しい。難しい要因は次の五つです。

1、話者が早口

2、漢字・平仮名の表記の決まりが分からない

3、録音状態が悪い

4、複数の話者がいる

5、句読点、段落の正しい使い方

早口

文字起こしの際には、音声再生アプリを使います。音声再生アプリで何度も再生して書き起こしていきます。

私が文字起こしを始めた頃は、本当に莫大な時間をかけて書き起こしていました。1分の音声を書き起こすのに1時間くらい。

特に早口の話者だと1秒間の文字数もかなり多くなるので、聞き取るのも書き起こすのも大変です。

漢字・平仮名

私は『記者ハンドブック』を使っています。この本には、漢字・平仮名の表記の決まりが記載されています。

文字起こしをするまで、漢字・平仮名の表記に決まりがあるなんて知りませんでした。特に難しかったのは、何(なに、なん)の使い方です。正直、今でもどちらにしようか迷うことがあります。

またクライアントによっては、独自の表記をご希望される場合もあります。その場合は、クライアントのご希望どおりの漢字・平仮名表記にする必要があります。

録音状態

雑音があったり、2人同時に話したりしていると、何を言っているのか分からないんです。何度も再生して聞き取るしかありません。

雑音を取るためにAudacityという音声編集ソフトを使ったこともあります。しかし、雑音が小さくなると音声も一緒に小さくなってしまうんです。雑音だけ取れる方法があれば教えていただきたいです。

Audacity

複数の話者

文字起こしの原稿を作成する際、話者を区別して記載します。

男女1名ずつであれば区別しやすいのですが、10人の座談会だと聞き分けるために高度なテクニックが必要です。声が似ている人や笑い声で話者を判別するのは至難の業です。

句読点、段落

どこに句読点を打てば読みやすい文章になるのか、どこで段落を置くべきなのか。

句読点については『記者ハンドブック』の中に説明があります。

「誤読、難読の恐れがない場合は、原則として読点を打たない。一方、なお、またなどの後」

「かっこでくくった文。段落全体を構成する場合は句点を付けない。直前に主語がある場合は句点を付ける」

一人の話者が講演会で話している音声であれば、段落を置く場所は見分けやすいです。

ただ、話者によっては自由にお話しされる方もいます。そのため段落をどこで置くかの判断が難しい場合もあります。

向いている人

向いている人は、どんな人でしょうか。五つのポイントがあります。

1、事務作業が大好き      

2、調べものが苦にならない

3、タイピングが速い・正確

4、人の話を聞くのが好き

5、几帳面で細かい点に気が付く

事務作業が大好き

文字起こしの仕事は、パソコンの前で何時間も文字を打ち込む作業です。原稿が仕上がった後、さらに時間をかけて間違いがないかを何度も見直す必要があります。

事務作業が好きな方には向いていると思います。

調べ物が苦にならない

正確な単語、スペル、漢字で記載するために、調べ物は欠かせません。「どうだったかな?」と不安に思うことは、とことん追求したい性格の人に向いている作業です。

タイピングが速い・正確

タイピングが速ければ、文字起こしが早く完了します。タイピングが正確であれば、見直しが簡単になります。なので、タイピングスキルはあればあるほど有利です。

人の話を聞くのが好き

文字起こしは音声を聞いて、それを書き起こすお仕事です。長いと1時間の講演や3時間の座談会などもあります。当たり前ですが、黙って話を聞かないといけません。話者の話が興味のある話題ではない場合もあります。

逆に言えば、文字起こしをしていると、さまざまな分野の話を聞くことができます。好奇心・知識欲がある人にとっては、文字起こしは楽しい作業になると思います。

几帳面で細かい点に気が付く

文字起こしした原稿は、誤字脱字、文字のゆれ、指定された様式で書かれているか、何度もチェックします。間違いがないように細心の注意を払う必要があるんです。

「まったく・全く」「すべて・全て」「できる・出来る」など、漢字とひらがなが統一されていない文章は、完成度が低いものになります。完成度が低い原稿を提出すると、クライアントの信頼を失ってしまう可能性があります。

几帳面で細かい点に気が付くのは大切です。

向いていない人

向いていない人は、どんな人でしょうか。


1、じっと座っているのが苦になる

2、検索が苦手

3、何度も聞き直して書き起こす作業にイライラする

どんな仕事にも向き不向きがあると思います。文字起こしもそうです。

人生で仕事に費やす時間を楽しく過ごすために、自分に合った仕事を見つけるほうがいいかもしれません。

文字起こしの仕事のメリットとは?

文字起こしの仕事のメリットは何でしょうか。

「時間の有効活用」

私の場合、文字起こしの仕事のおかげで家での時間を有効活用できました。コロナ禍で家から出られなかったことさえ、私にとってはプラス要素になったんです。充実した忙しい毎日を送るきっかけになりました。

知識が増える

文字起こしではさまざまなジャンルの音声を書き起こします。

例えば、株、ビジネス、建築、舞台、歴史、コンサル、医学、YouTube、起業、遺産相続などです。知識が豊富になります。

もちろん聞いただけの知識なので、さらに深く学ぶためには自分で勉強することは必要です。

しかし、文字起こしを通して今まで興味がなかった分野の話が聞けるんです。新たな世界に足を踏み入れる機会になるかもしれません。

文書作成スキルの向上

漢字表記にも詳しくなります。『記者ハンドブック』は表記指標の一つです。正式な文書を作成する際には必要なスキルなので、文字起こしの仕事をして良かったなと思っています。

スキルアップ

さらに、クラウドソーシングサービスから文字起こしの経験を積んで、今では反訳会社に所属しています。会社に所属すると、難易度が高い書き起こし依頼が多いです。その代わり単価も高めです。

文字起こしをしていると、仕事を評価してくださったクライアントさんからライターの仕事を紹介していただいきました。ライターの仕事を続けていると、今度はブックライターのお誘いまでいただきました。

勇気を出して良かったです。「文字起こしをしてみよう」と一歩踏み出したおかげで、新たな道が開けたからです。

ちなみに、最近『夢をかなえるゾウ1』を読みました。

この中にも、夢をかなえるための一つのステップとして「応募する」というのがありました。挑戦する勇気ですね。この本もすごく面白かったのでオススメです。

この記事が、これから新たな仕事に挑戦しようか迷っている方の励みになればうれしいです。

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