文字起こしの3つの方法(ケバ取り・素起こし・整文)

2022年11月26日土曜日

文字起こし

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文字起こしの方法は3つあります。

1、ケバ取り 
2、素起こし
3、整文

文字起こしの方法は、ご依頼時にクライアントから指定されることがほとんどです。

「ケバ取りって何?」「素起こしってどこまで起こしたらいいの?」とならないために、基本的な文字の起こし方は理解しておきましょう。

ということで、今日は「文字起こしの3つの方法」について解説します。

ケバ取り

ケバ取り

・「えー」「そのー」「あのー」「えっと」「まあ」などの意味のない言葉(ケバ)を削除
・言い直した部分は、言い間違えた部分を削除
・口癖は削除
・相づちも不要
・笑い声も不要

ケバ取りとは、ケバを取り除いた書き起こし方です。

ケバというのは、「えー」「そのー」「あのー」「えっと」「まあ」などの意味のない言葉を意味しています。

またケバ取りでは、「あのですねー、○○がですねー、○○なんですよ」といった文の途中で話される「~ですね」の部分を削除します。

そして 言い直した部分があれば、言い間違えた部分は削除します。

例えば、「あれは確か、に、2ねん、ま、あ、ちが、3ね、3年前になりますが、・・・」という音声であれば、「あれは確か3年前になりますが、・・・」と書き起こします。

話者の口癖も削除します。

例えば、「要は」というのが口癖の方がいました。

「要は~、要は~、要は~」という具合で、1文の中に何度も「要は~」を使用されていました。

「要は」が必要な部分は残しますが、なくても意味が通じる口癖の部分は削除します。

話者が2名以上の場合、相づちも書き起こしません。

例えば、こんな感じです。

A コロナ禍では仕事が減ってしまって。
B あー、はい、はい、はい。
A それで時間ができたので、ブログを始めたんですよね。
B へえー、うん、うん、うん。
A ブログとかされてます?
B はい。

これをケバ取りすると、以下のようになります。

A コロナ禍では仕事が減ってしまって。それで時間ができたので、ブログを始めたんですよね。ブログとかされてます?
B はい。

質問に対する答えの「はい」は、ケバではありません。

しかし、相づちはケバになりますので、すべて削除します。

笑い声も書き起こしません。

ただ、クライアントによっては「笑い声を(笑)で表示してほしい」と言われる場合もあります。

なので、笑い声を表示するかしないかは、クライアントのご希望を確認する必要があります。

ケバ取りの特色・用途

ケバ取りで書き起こすと、ケバが削除されているので、読みやすい文章に仕上がります

ケバ取りの用途で多いのは、インタビュー記事作成YouTube・動画のテロップ講演会・セミナーの記録研究用の資料などです。

もしクライアントが書き起こしの方法で迷っていたら、用途を聞いてください。

もし上記の用途であれば、ケバ取りでも問題ありません。

「ケバ取りはいかがですか。とても読みやすい仕上がりになります」と教えてあげましょう。

素起こし

素起こし

・一字一句、すべての音声を書き起こす
・言い間違い、笑いも文字にする

素起こしとは、音声を一字一句、そのまま書き起こす方法です。

先ほど削除していたケバの部分、例えば、言い間違いも、笑い声もすべて文字に起こします。

基本的に書き起こす対象は、人の声になります。なので、物音などは書き起こしません。

素起こしの特色・用途

素起こしで書き起こすと、発言のニュアンスやその場の雰囲気が原稿を通して分かります。

素起こしの用途は、裁判用の証拠資料、研究用の資料、カウンセリングなどが多いです。

特に裁判用の証拠資料は、一字一句正確な書き起こしが不可欠です。

不正確な書き起こしでは、証拠として認められない可能性があります。

整文

整文

・文章を書き言葉に整える
・「です、ます」など、文末を整える
・助詞や「い・ら抜き」言葉を補う
・倒置法は、正しい文法に直す
・明らかな間違いは修正する

整文とは、文章を読みやすくするために書き言葉に整える方法です。

「です、ます」など、文末を整えます。

助詞や「い抜き・ら抜き」言葉を補います。

また倒置法で書かれている部分は、強調のための倒置法でなければ、正しい順に並べ替えて文を整えます。

明らかな言い間違いは修正します。

方言は標準語で書き直し、単調な表現はカットして文章を整えます。

整文の特色・用途

文章が文語体で丁寧に整えられているので、ケバ取りよりも、さらに読みやすい文章に仕上がります。

整文の用途としては、インタビュー記事、Web記事、議事録などがあります。

整文はリライトとは違いますので、音声と全く違う文やニュアンスに変更することはしません。

ケバ取り・素起こし・整文の実際の例

それではフリー素材を使って、簡単な文字起こしに挑戦しましょう。

【1問目】以下の音声を聞いて、ケバ取り・素起こしにしてみましょう。


いかがだったでしょうか。

【ケバ取り】 別にあんたのために作ったんじゃないんだから。勘違いしないでよね。
【素起こし】 べ、別にあんたのために作ったんじゃないんだから。勘違いしないでよね。

【2問目】以下の音声を聞いて、ケバ取り・素起こしにしてみましょう。


いかがだったでしょうか。

【ケバ取り】 大丈夫かな。不安だな。心配。
【素起こし】 うーん、大丈夫かなー。不安だなー。心配。

それぞれの起こし方の難易度は?

起こし方の難易度の順番は、先ほどの文字起こし方法について説明した順番と同じです。

1、ケバ取り
2、素起こし
3、整文

ケバ取りは、ケバを取り除いて必要な部分のみ書き起こしていくので、比較的起こしやすい方法です。

素起こしは、一字一句すべての音声を書き起こす必要があるので、ケバ取りに比べて文字に起こす文字量も増えます

言い間違え、笑い声もそのまま文字にする必要がありますが、これは思っているより難しい作業になります。

何度か聞き直してみると、聞き逃していたケバを見つけることもあります。

ケバ取りに比べて少し大変な作業になります。

整文は、クライアントのご要望に従って、どれくらい文を整えるのか、よく意思を通わせることが必要です。

クライアントによっては、助詞や「い抜き・ら抜き」言葉だけ補ってほしいというものもあれば、リライトまでいきませんが、できるだけ読みやすい文に整えてほしいというものまでさまざまです。

整文の仕方、度合いも作業者によっても多少違いますので、1つの正解がないという意味では難易度が高い作業になります。

クライアントに満足していただくことが大切なので、クライアントのご要望に沿ったかたちで進めていくことが必要です。

クライアントが求めるのはスピード・単価、それとも質?

スピード・単価・質、どれも大切です。

ですが、クライアントによっては質よりもスピードを求める方もいます。

とにかくすぐに必要になので急いでほしい、という具合です。

また、時間はかかってもいいので、質を重視しているクライアントもいます。

お金は高くてもいいので、早く質の良いものがほしい、という方もいます。

例えば、私はある医療系の編集者さんから文字起こしを時々頼まれます。文字起こしを元にインタビュー記事を作成されるそうです。

その方の場合は、納期までの時間を比較的長くいただけます。その代わり単価は安めです。安さを重視されているようです。

クライアントに満足してもらうために、クライアントが求めているものに敏感になりましょう

文字起こしのスピードを上げるためには?

文字起こしのスピードを上げるためにできることは、4つです。

1、性能の良いパソコンを使う
2、性能の良いイヤホンを使う
3、タイピングの正確さと速さの向上
4、文字起こしの量をこなす

1、性能の良いパソコンを使う

性能の良いパソコンを使うと、パソコンの反応が速いので、スムーズに原稿作成ができます。

それが文字起こしのスピードアップにもつながります。

以前、古いパソコンを使っていたときは、パソコン自体の反応が遅いので、それが文字起こしのスピードにも影響していました。

Wordで文字を打つことが多いのですが、キーボードを打ってから少し遅れてWordに文字が表示されていました。

ほんの零点数秒の遅れでも、それが積み重なると大きな時間のロスになるのかなと思います。

なので、性能の良いパソコンを使うことは、文字起こしのスピードアップにつながります。

2、性能の良いイヤホンを使う

性能の良いイヤホンも大切です。

性能が良い音声で文字起こしをすれば、よく聞き取れるからです。

よく聞き取れると、繰り返し聞かなくても文字に起こせます。

特にノイズキャンセリング機能のついたイヤホンがオススメです。

雑音が消えて、音声に集中できます。

3、タイピングの正確さと速さの向上

タイピングの正確さと速さは、文字起こしのスピードの要です。

タイピングが正確であれば、見直しや修正の時間が短くて済みます

タイピングが速くて、音声と同じ速度で文字を書き起こせるなら、1時間の音声が1時間で書き起こせることになります。

実際には、そこまで速く書き起こすのは難しいかもしれません。通常「10分の音声の書き起こしには1時間かかる」といわれているからです。

ですが、タイピングは速ければ速いに越したことはありません

4、文字起こしの量をこなす

文字起こしの量をこなしていくと、タイピングが速くなるのと、耳が慣れてきて聞き取りも上手になっていきます。

どんな仕事でもそうですが、文字起こしも長く続けていると熟練していきます。

質の高い原稿に仕上げるために

質の高い原稿に仕上げるために、私が大切にしているのは寧な見直し」です。

最低2回は見直します。

私自身、タイピングミスが多いので、見直しを数回して自分の弱点を補っています。

もちろんタイピングミスをゼロにできれば一番いいのですが、そこはこれからの課題です。

また、リギリの納期設定にしない」ように心掛けています。

時間がないと、削られるのは見直しの時間になります。

一つ一つの原稿の質が落ちてしまう可能性もあります。

なので、納期は長めに設定して、余裕を持ってスケジュールを組んでいます

以前、忙しくて、毎日何件も案件をこなして、かなり先までぎっしりとスケジュールが詰まっていたことがありました。

おかげさまで病気にならなかったので仕事をこなせましたが、いつも納期に追われて焦っている心理状態は本当に疲れます。

なので、今は仕事の量を調整して、もし病気で1日くらい休んでも納期に間に合うように、余裕をもったスケジュールを組んでいます。

まとめ

今日は「文字起こしの3つの方法」について解説しました。

ケバ取りのまとめ

・「えー」「そのー」「あのー」「えっと」「まあ」などの意味のない言葉を削除
・言い直した部分は、言い間違えた部分を削除
・口癖は不要
・相づちも不要
・笑い声も不要

素起こしのまとめ

・一字一句、すべての音声を書き起こす
・言い間違い、笑いも文字にする

整文のまとめ

・文章を書き言葉に整える
・「です、ます」など、文末を整える
・助詞や「い・ら抜き」言葉を補う
・倒置法は、正しい文法に直す
・明らかな間違いは修正する

3つの文字起こしをマスターして、文字起こしのお仕事を頑張ってくださいね。

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